八 朔
旧暦8月1日(朔日)は夏から秋へと季節の変わり目の頃。本来は農家の穂掛け行事として豊作祈願や予祝を行う日でした。現在でも各地にその名残りがみられます。
八朔は穂掛け行事の側面と、物品の贈答という側面を持っています。それは、この日を「タノミ(頼み)」と称して田の実、つまり稲の実りを祈願する穂掛け行事に関連して親戚や主の家に初穂を贈っていたものが、次第に物品の贈答に変化したともいわれています。そうして家と家の関係性を強める意味での物品の贈答が行われるようになり、この風習は農家から町家へ、そして鎌倉後期より武家社会や公家にも定着していきました。
また八朔を境にして、収穫作業へむけて夜なべ仕事など厳しい労働が開始されました。農家ではこの日「八朔の涙まんじゅう」と称してぼたもちを食する所もあったそうです。
この日に吹く強風のことも八朔と呼ばれています。収穫前の稲に被害が及ぶとして、農家にとっては二百十日、二百二十日と共に三大厄日の一つでもあります。
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