五行と五色
陰陽五行において、五色は大変重要なものとされてきました。寺社の祭事などで用いられる幟や能舞台の揚げ幕にも五色が配されていますが、単なる装飾ではないのです。 五色は木火土金水の五気を象徴しますが、それはつまり五気に還元、配当されている方位から季節、生物、徳目など宇宙の万象に及びます。陰陽五行における五色は、時間・空間を統合し、宇宙そのものを表現するとされています。
中国哲学において時間・空間の一致は顕著な特質とされていますが、古代中国の「禮記」月令には、そのことを最もよく示している記述があります。「禮記」月令は古代中国における一年十二ヶ月の星座、気候と月々の行事の記録のことです。
立春の時、天子は青衣を着け、青玉を佩び、百官を従えて自ら東郊に赴き、春を迎えた。同様に立夏となれば赤衣をまとい、南郊に夏を迎え、立秋には白衣をもって西郊に秋を、立冬には黒色の衣を着けて北郊に冬を迎えた。