プロフィール
山本三千子(やまもとみちこ) 室礼研究家
新潟県出身
室礼三千(しつらいさんぜん)主宰
住宅産業研修財団講師
生涯学習開発財団講師
ミサワインテリアスクール講師
他数々のカルチャースクールでも講師を歴任。雑誌「モダンリビング」(婦人画報社)、「VERY」(光文社)、「ナイスリフォーム」(日経ホーム出版社)などをはじめ、TV出演でも広く活躍。
著書
「季節の室礼」(住宅産業研修財団)
「室礼」(叢文社)
「室礼十二ヶ月」(叢文社)
【四季の行事】 のおもてなし(PHPエル新書)
「暮らしの室礼十二ヶ月」(淡交社)
「室礼おりおり」(NHK出版)
「還暦」に赤いちゃんちゃんこはなぜ?(講談社+α新書)
社会が今、大きく変化しつつあると誰もが感じています。この様な状況の中で日本の伝統文化を再確認する必要が叫ばれています。
正月、雛祭、お盆…など、これ等の年中行事は連綿と日本人をささえてきた伝統文化でした。しかし、今日残っている行事は古より伝承されてくる間に、本来の意味を支えている人智を越えたもの、いいかえれば自然、神、祖先などへの畏怖、感謝、祈願といった根源にある祈りの部分が薄れてしまいました。そして行事に伴う室礼も単なる装飾、歴史なき慣習としての飾りになってしまっています。
私達は今こそ伝統という長く深い歴史から先人の知恵や、豊かな人間性、さらに未来に続く不易なコトを探し出さねばならない時と思います。年中行事という言葉は、「事を行う」ということを示しています。言葉は文化の基盤であることを思い出す時、この言葉に真摯に従わねばならないと考えます。
また、この時、私達が大事にしなければならないのは、過去の遺産ではなく、現代に生きる私達にとって必要で意味あるものを選び出す自分自身の力です。
ずっしりとした大根、南瓜の重み…
柚子やバナナの香り…
季節を彩るさまざまの花、そして祖父母の大切にしていた伝来の品々、など…
自分をとりまくさまざまの物に心を通い合わせる時、そこに新しい意味や以前感じていなかった美しさが見え出してきます。暮しの底でひそやかに息づいている心の形と出合います。
(「室礼十二ヶ月」山本三千子著 より)